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2004.09.01

クローズアップ現代 高潮が町を飲み込んだ(1999年)

(2013/4/11追記)
クローズアップ現代の公式サイトに過去放送の一覧が出来ていたのですね。
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_1155.html
「高潮が町をのみこんだ ~検証・不知火災害~」
台風18号の直撃で水に浸かった熊本県不知火町。この町の堤防は、国の基準に従い、綿密な計算に基づいて作られていたはずだった。巨大な高潮は、どのようにして町をのみこんだのか。高潮のメカニズムと対策を検証する。

この番組も20週年なのですね。記念コンテンツもあり。今後も良い報道を続けてほしい。(4/10放送の「広がる地下迷宮 ~都市の地下開発最前線~」もおもしろかった)


(2011年4月追記)
東日本大震災では東北に津波被害甚大でした。
東日本大震災:東北に生きていた津波への備え
下の熊本のように、教訓にしてより良い地域復興にならんことを祈ります。
熊本では、龍ヶ岳町が上天草市に入ったことで、水害対策はいまや市全体の施策になっており、
市の誰でも防災無線を無料で設置できるなど、拡大浸透を今も続けています。

(1999年記事)
『クローズアップ現代 高潮が町を飲み込んだ・海面急上昇のなぞ』
1999年に起きた台風18号の熊本県不知火町の高潮被害、死者12名。これの発生原因を追う番組でした。
今まで視聴した中で最も印象に残る報道番組でした。

高い防波堤と広い防波堤道路幅で、高波がそれを越えて松合地区を襲うことはないようになっていた。
実際、高波は道路を越えてなかった。なのに、なぜ?
八代海に台風が来たことで、
・大潮の満潮
・南からの強風+湾奥の地形
・低気圧による海面上昇
という悪条件が重なり、『海面上昇』を引き起こし、
防波堤に横穴を開けて船を引き込んでた「船溜まり」、そこが防波堤よりも低かったため、そこから海水が侵入してしまった。しかもその高潮の高さ3メートル。
波と違って海水面そのものが襲ってきたため5分ぐらいで付近を埋めてしまった。
そのため、お年寄り、身体の不自由な人、二階がない家を中心に被害が出てしまった。
番組のインタビューで、長年住んでいるお年寄りも
「こんな高潮聞いたことがない」
防波堤を建設するにあたり、歴史統計もチェックして今の高さにしていた。
このように特に落ち度がなかったが、規模が大きすぎて防ぎきれなかった仕方のない災害でした。
湾岸に住む漁業の町のこうした宿命にどう立ち向かうか?で
全国各地の事例が紹介されていました。
番組ゲストの先生曰く「防災にはハード対応とソフト対応があります」、と。

ハード的対応の例として、水門を作った町を紹介。
漁港の玄関に巨大な水門を設置し、船は水門内に避難する。
漁港を完全に封鎖できる水門、億単位の建設費がかかったとか。
地元の人曰く「(お金はかかりましたが)命にはかえられませんから…」

そして、そんなお金がないとある町のソフト的対応。
それが1999年台風18号で同じ被災地区の「天草郡龍ヶ岳町」(現在は上天草市)。
熊本県内の被災地20自治体の中で唯一避難勧告を出していた町です。
住民のほとんどが事前避難を済ませることができ最悪の死者を出さずに済んだという。
この町は10年以上前に同様の高潮被害を受け、そこで死者1名を出してしまった。
それを教訓に防災整備を開始。しかし予算もないので高度なシステムは作れない。
そこで停電時でも使える防災無線を各戸に配備、さらに消防団で避難担当区域を割り当てた。
町役場では観測担当者も置いた。しかし高度な観測機具ではなくて、風速などを人手で観測するだけのもの。
そこで1999年に基準値を超えたので避難勧告を出したわけです。
そして避難を始めたが、母子家庭で子供を連れていたため逃げ遅れが発生。
そこで詰め所に待機していた消防団員が救助に向かい、無事保護。
そういう体制作りで最小限の被害に食い止めたのでした。
なのに、役場の観測担当者も団員も「やるべきことをやっただけ」とインタビューに謙虚に答えるだけ。素敵です。
この町は昔に失った一人の命を教訓に、10年以上も避難の仕組みを守り続けていたというところに感動しました。オオカミ少年のように風化させることなく。
陰徳陽報、日頃の行いが報われることとはこういうことをさすのではないでしょうか。

(2004年9月追記)
2004年の台風16号も過ぎ、いろいろまた被害が出ました。そんな中で熊本のニュース。
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/kumamoto/news/20040831ddlk43040435000c.html(リンク切れ)
台風16号 「99年の教訓生きた」不知火町、マニュアルに沿い住民避難 /熊本(毎日新聞)
上記記事では、先の松合地区も、今年の台風では対策本部を設置、水門も設置したし、各戸には防災無線も配備済だそうです。訓練もしています。
そのため被害は今回も無し。良かったですね。これが50年、100年と受け継がれるといいですね。


■参考サイト
【REPORT7】熊本県八代海沿岸 犠牲者12人 早朝の漁村を襲った異常高潮の不意打ち
http://www.mlit.go.jp/river/pamphlet_jirei/bousai/saigai/1999/html/e007.htm

今回の高潮で、家屋77棟が壊れ、102棟が浸水したものの、住民のほとんどが避難していたため、6人が負傷(重傷1人、軽傷5人)しただけにとどまった地区がある。八代海の入り口にある天草郡龍ケ岳町だ。県内の被災地20自治体の中で、唯一避難勧告を出していたが、実際にはそれ以前から自主的に避難した住民もいたという。それは14年前の高潮災害(1人死亡、139棟浸水)を教訓に、行政と住民が一体となって高潮に対する防災・避難体制を見直すなど、不断の取り組みが実を結んだ結果といえる。

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