優秀種と国産ブロイラー
毎日新聞2004/10/14
『輸入頼み"国産"鶏』という記事で知ったのですが、国産鶏肉の9割を占める「ブロイラー」は元をたどれば実は輸入ものだそうで。
くだものだと分かりやすいと思うのですが、メロンやスイカを食べてその種を育てても同じ果実は得られない。ましてやバナナには種が見えない。
このように品種改良の果てに、種を継承できないかわりに最良の味を提供できるようになったが、その代償として苗を常に買わないといけない。
農家が自力で増やせない種ビジネスが確立しています。
それと同じことが鶏でもあって、ブロイラーとしての鶏はブロイラーとしてしか利用できず、ブロイラーからさらにブロイラーは作れない。
しかも、ブロイラーは「ブロイラーを生む専門の鶏(種鶏)」からしか生まれず、その種鶏も、原種鶏からしか生まれない…という一方行なピラミッド構造になっている。
【ブロイラーの流れ】
1.エリートストック(略してESと呼ばれる最上位種)
↓
2.原原種鶏
↓
3.原種鶏(日本が海外からこれを年十数万羽輸入。その金額は秘密らしい)
↓
4.種鶏(種鶏農場が育てる)
↓
5.ブロイラー(ブロイラーのひなを農場から買って育てる。年6億羽)
ブロイラーをたくさん作るため、その分原種鶏を海外から大量に輸入している実態。
なので国内鶏肉は自給してなく海外輸入に頼っている。
しかも輸出会社は英エビアジェン社・米コッブバントレス社2社の独占状態(1.〜3.を世界的に握っている)。
昔は複数あったが、少ない餌で大きく育つニーズのための品種改良競争で数社だけ残り、今はその最上位親鶏は企業最高機密となっており、どのようなものか見るのも難しいらしい。
原種鶏から孫の代でブロイラーに最適な品質が得られるよう設計されたニワトリが主流となっている。
当然2社寡占では、もしも親鶏にウイルスの影響とかがあるとその子孫への影響はとても大きくなる。
なので日本国内では種の寡占化に危機感を持っているが、国内で自前で原種鶏を持っているのは家畜改良センター兵庫牧場だけだそうで。しかもブロイラーでなく地鶏。
バイオテクノロジーものとまでは言えなくても、これでは動物ではなくて生産製造っぽい工場要素がありますね。
国内地鶏は純国産でこのような大がかりなピラミッドも必要ないですが大量生産&安価には向かないですし。
効率よく優秀な種を量産するにはこういう形態がいいのでしょうか。
ESの製造工場?は、マトリクスやガンダムシードやファフナーのような人間製造みたいな光景だったりして…
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