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2006.01.12

私的録音録画補償金制度では誰も幸せになれない

いや、JASRACだけは幸せなのかもしれない…

関連:
2006.03 グラフで見る音楽著作権の儲かり度 補償金は確かに減少だが使用料は増収な現実
2005.09 音楽CDの利益配分比率 ネット配信額もあまり安くない。作曲家にいかに金が行かないか

(2006/1/12補足)
時事通信
審議会法制問題小委員会が昨年末にまとめた「課金は見送り、抜本的に制度の見直しを行う」などとする案を基本的に了承し、現時点でデジタル携帯プレーヤーを追加指定しないことを報告書にまとめた。
(私的録音録画補償金制度は、個人がデジタル方式の記録機器を利用する際に著作権者が補償金を受け取る仕組み。権利者保護のため1993年に導入され、機器の販売価格に一定額を上乗せして還元する)

とりあえずIPOD課金はやらないことになったようです。使用料の一方で補償金も取る。しかもJASRACらの管理下音楽がその媒体に格納されるかどうかも不確定なのに。
という一角の侵攻を止めただけですが。私なんかはもう面倒なので使用料を気の済むまで値上げすればいいと思っています。買わないけど(笑)。

(2005/9/13補足)
iTMSjにいち早く楽曲提供したエイベックスのインタビュー
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20050912/220987/
さすがにネット配信への理解がおありのようですが、特に印象に残ったのは、アップルを破格なものとは捉えてないこと。「150円とか200円とか安さばかりが引き合いに出されますが、一番安いのはレンタルですから。10曲入りのアルバムを300円で借りたら1曲30円の計算になったりする。販売開始からちょっと待てばすぐレンタルで出回りますよね。だから、安いマーケットという観点からすると、日本は実はアメリカより安いんですよ。音楽配信が始まる前からね」
確かに1曲30円相当なCDレンタルがあったのだから、150円が安くて無理だ!飲めない!とか文句言うコンテンツ提供側はなんなのでしょうね。当然CDレンタルは自社のを禁止してるんでしょうなあ?>反対者

(2005/8/25)
下の続き。さらにJEITAの主張。
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/special/2005/08/25/8896.html
そうそう!配信ファイルはパソコン本体までが許諾範囲で転送先デバイスへのコピーは補償対象とJASRACは言っていましたが、
私のsonic-stageでJASRACな曲を買うと「転送3回」と明記してある。消費者はこの3回までは認められた転送複製であり料金に含まれると解釈しますよね?
なのに、転送先のウォークマンに補償金を別途載せたいと言う?
速報では、本日の小委員会も結局意見はまとまらず、予想通り両論併記のままパブコメにかけられるもよう。

(2005/8/24)
今度はJASRAC側の主張な補償金制度インタビュー記事。
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/special/2005/08/24/8874.html
読むと法律的にも著作権者尊重の点からも正論なんですよねぇ。それ盾にされると…。
しかし「MDがじり貧だから新課金対象を開拓しないと」「HDDのような汎用製品は制度改正が大変なので後回し。iPODがまず先」とかまで言われると…。
・補償金はしかるべき比率で分配してる。上はン百万円、下は1円単位
・レンタルや配信の価格は消費者の手元にCDやファイルを届けるまでの価格。
 それをさらに私的複製する料金は含まれてない。だから媒体課金は重複でない。
・複製権は著作権者の権利。それを勝手知らぬところで複製させるのが私的複製。
 子細を把握できないところだから補償金で補っている。
 その補償金が嫌だというなら、私的複製権そのものを廃し、
 複製権を守らざるを得ない。
・DRMは不完全な技術だ。米国はP2Pがまかり通りすぎていたので
 それよりはマシだからiTUNEを認めたのだ。
・海賊版摘発や著作権啓蒙とかもやっているのでJASRACの存在意義はあり、
 収入全額が著作権者に渡らないのもそうした経費だから

個人の複製をあまり緩くOKしてしまうと、業者なデッドコピーを誘ってしまうので、原則複製全面禁止で条件付きで部分で許可、というスタンスはファイヤーウォール的?思考で理解できないわけではないです。
今日の日経産業新聞のコラムで「iTMSjとmoraの人気の違いは、制約条件をいかに消費者に煙たがられずに提示できるかにあった。アップルは消費者の味方な販売条件だと印象づけることに成功したのだ」とありました。
補償金制度も支払い側がもっと気持ちよく払えるようなムーブメントの醸成といいますか、もうちょっと心理作戦を考えたらどうかと思うところです。
「払わないなら私的複製権を廃止するぞ。元々与奪権はこっちにカードがあるんだ」という口ぶりだからなぁ…


(2005/8/9 日経産業新聞)
『BSAハリマン会長、私的録音補償金強化に反対』
なんとタイムリーな…
来日していた米BSA会長のロバートハリマン氏にJASRAC課金についてのインタビューが。
氏曰く『デジタル課金拡大は不当』だと。
米国IT産業の権益代表のBSAのボスが来ていたのですね。
日本もここに頼らないとJASRACの思うがままなんですよねぇ…>文化庁方面
そんな氏へのQA形式でのまとめ

−−日本の文化庁では補償対象機器拡大を検討中だが
不要で不適切な論議だ。そもそも補償金制度はアナログ録音時代にコピーを抑制できない前提での著作権料の一部を補償する仕組みだった。

−−JASRACなどはデジタル技術で不正コピーが増加しているからこそiPodのような機器に課金せねばと主張している
誤った認識だ。DRMで効果的に不正コピーを防ぐことが出来る時代だからこそ補償金制度は不要だと思う。

−−JASRACなどはDRMと補償金は両立すると主張している
消費者は著作権使用料と補償金と二度払わされている。古い税制のような補償金は時代に逆行している。
補償の対象が広がれば消費者の負担が増え、機器の普及に、ゆくゆくはコンピュータ産業全体に悪影響がでると懸念する。

−−他国の状況はどうか
米国では機器への補償金は無い。DRMで管理できるので作曲者もレコード会社も機器メーカーもみな歓迎している。
欧州の一部でもアナログ機器への補償金制度をデジタルに広げるか議論中のようだ。もしそうなれば消費者に大きな負担となるだろう。

日本では、補償金は確かに減っているが、使用料のほうはCD売上減を着うたとかのデジタル配信が補うようになっています。
買いたい条件が揃えば消費者はちゃんと買うのに(使用料増)、補償金をなんでさらに拡大するんでしょうね。
そうして収入が増えてるのに買った先の媒体に実際に曲が入ろうが入らないだろうが一律課金。入るにも数曲だったり数千曲でも媒体単位での課金。だから利用料は曲数に比例するのに補償は比例しない。
そういえばmoraが曲販売で「媒体コピー:無制限」となりましたが、俺はスティックウォークマンは1台しか持ってないんじゃーです。しかも一部に歌詞ファイルやジャケット絵を付けないし、いい曲はしっかり200円超の高い値段ですし。
ituneでは媒体やCDへたくさんコピーできるのにmoraと売上曲数がダンチなのは、制限を緩めたからってみんなが不正で余計なコピーせずにちゃんと買っているわけですよね?


(2005/8/7)
20050807書くのが遅れましたが、ここ最近の著作権補償論争の動きについて。
いわゆる文化審議会で「デジタルオーディオプレイヤーへの課金是非」が議論されていて、7月28日の会議でも結論は出ず、もしかしたら両論併記でパブコメ募集がなされるかも?という珍しい事態になるとも報道されていました。
お国のパブコメは仕事柄読むのですが、大概は結論が既にあって賛成意見→ご意見ありがとうございます頑張ります。反対意見→こうすることが最良と考えますのでそれは採用しません、という流れです。
そんな中でこの著作権補償の制度は大きく注目されているので、その世論の注目の高さが文化庁の態度を誠意あるものに変えさせることができればよいでしょう。
総務省のをよく読みますが、たくさん意見が集まったのは例のソフバンが煽ったときだけ。それでもPDFで何百ページというもの。
それに対して1000ページ越えとかなるらしい>文化審議会著作権分科会のパブコメ
会の動きやそれへの世間的反応は以下に詳しく解説されていますのでここでは省略。
試されるブログ(北国tv)
2005年07月01日(金)音楽/業界の愚行 法制小委#5 私的録音録画補償金制度自体には問題点指摘の意見殺到、しかしiPod 課金は賛否割れる
これ書いてます暇人#9さんは意見を上げるなど実際に行動もされている中で、パブコメを文化庁にいいように解釈された?ということも過去にあったようですから、会は小手先の操作なぞせず粛々と進めて欲しいところです。
それで日経の記事では、論争になっている要点をまとめてあったので、それで復習しますと、

*JASRAC等7団体は「課金は当然」「むしろ私的複製権すらも禁止したい」
複製権は著作権者の権利であり私的複製はその下で機能しているあくまで付随のもの。
今の反対者の最大の根拠がこれだから、ならばその根拠権利を消してしまおうというもの。
日経の記事ではこれを「吉田茂JASRAC理事長は極論を持ち出した」と評していました
*録音補償はあらゆる媒体に進出。ところがデジタル携帯機器で待ったがかかったのが発端
*議論(課金の無限連鎖拡大阻止)を起こしたのは消費者ではなかった
補償はMDとか音楽用CD−R、DVD−Rとか着実に静かに課金領域を増やしていた。当然のごとく利権団体はデジタルオーディオプレイヤー機器にも課金するつもりだった。
そこに待ったをかけたのがIT業界。
電子情報技術産業協会(JEITA)やビジネスソフトウェアアライアンス(BSA)は、
「HDDやシリコンメモリは記録汎用品。これに音楽とかの課金はなじまない」「コピー回数制限など作品個体で権利者利益と消費者自由のバランスをとるべきで、媒体一律課金は時代遅れ」
*現状ではがんじがらめの課金状態の娯楽=録音録画
媒体にはみなし補償で課金され、CDや映像にはコピープロテクト。ネットでダウンロード購入すると回数制限。
私的複製の領域まで踏み込んで制限が実際になされている。
ここでさらに再生機器にも補償金をかけられれば消費者は何重の私的利用の自由を侵害されることになるのか。

*現状まとめ
以上のことから、媒体&機器課金なJASRAC組にコピー回数制限だけで他は撤廃なBSA組が待ったをかけたという、著作権ビジネス同士の対立という奇妙な構図が今の論争の元となっている。
日経のコメントとして、業界間の利害調整だけでは済まない、という消費者不在の議論に警鐘を鳴らしていました。
(二者とも、課金そのものには反対してなくて、どこにかけるかを言い合っているだけですよね…)


■私の思うところ

印刷物がコピー機で複製されるとかの侵害があるからって、コピー用紙には課金はしてませんよね。スキャナで取り込んでHDDに保存するからってHDDに課金もしない。
なのにどうしてあの団体はこうも執拗に取り立てるのか。
グラフを見るに着実に私的録音補償金は減少傾向にあり、CDMDの売上低下からこの流れは確実。だから新たな収益源を…って、オイ待てヨ!という感じです。
少なくとも着うたとか携帯ダウンロード数増加でそれでの著作権使用料は増益なんですから。そこにminiSDに課金して二重にとろうというのか?
そもそもこんなことになるのは音楽販売の媒体の不完全さにあると思います。
書籍や映画、コンサートは、本を買ったり劇場に行けば、直接目や耳で楽しめます。
TV放送は電波なので直接は無理だが、TV受像機というコモデティな媒体があり、それだけ買えばいい。
なのに音楽は、アナログレコード、CD、MD、ネット配信、と姿かたちを変えすぎている。しかもCD買ってもそのままでは無理でCDプレイヤーなるものも買わないといけない。しかもCDプレイヤーもテレビのように長寿でなくて世代移行が早く、媒体メディアも録音手段も再生機も混在しているのが現状。
だから「買うのはCD媒体で、聞くのはシリコンメモリ」という消費者の都合は必ず発生する。
そこに著作権侵害を持ち出して、CDで金払ったのにメモリでも金を払えという。
あらゆる媒体を駆使せざるを得ない状況で、その媒体全部に課金する執拗さが嫌われている原因だと思います。
そんなに媒体に複写されるのが嫌なら、自己完結した形態で、スピーカーでの再生機能付きで音楽を販売してもらいたいものです。
雑誌はそれ単体で読めるから複製させない理由になります。なのに今のCDではその円盤を耳に当てても聴こえない。消費者の聞きやすい形態に変換させたくないなら、音が聴ける形で売って欲しいものです。
しかしせこいことに、正確には複写や変換は反対されてないんですよね。「やっていいから金よこせ」なわけで。

これまでの歴史的事実から媒体も再生手段も変動するのが音楽販売ならば、媒体や機器にいちいち課金するのは時代おくれだというBSAの意見に賛成。
コピー回数による制限だけであとは自由な媒体で聴けるようにしてくれるといいなと思います。
クラシックコンサートでの鑑賞は今も昔も楽器は何百年も変わっていないのに、光だのシリコンだのDRMだの騒いでいるのがどっちも同じ音楽だというのが信じられない。
それに侵害侵害言うならCDに補償金きっちりつけてもっと高価にすればいい。音楽を録音されるかもしれない、ただそれだけの不確定要素で金を先に取られるのは嫌ですね。
補償金は返還できる仕組みですが、仮にHDDにも課金された場合、私がHDDを買ってすぐに「VISTAやofficeインストールして使うから返金して」と申請すると、「書き換え可能な媒体ですからー将来貴方が音楽を録音するに使う可能性は残ってますしー」と却下するでしょうね。
使い倒してHDDを破砕したあとでないと申請できそうもない。そんな何年も先まで購入時の証拠レシートを保管しとけとは無茶言うよなあ。

なんでこうも強権を振りかざせるのだろう。
消費者が私的複製したからって法的には侵害扱いですが実害でファイルが1個増えたとたんに作曲者の生死にかかわるわけでも…
そんな強権の作曲者さんや利権団体の人のHDDやCDラックには怪しいmp3もCDRもひとつもないそれはそれは権利的に綺麗なものなのでしょうか…
P2Pの不特定多数配布の取り締まりは別途やるでしょうし、普通に音を楽しむには課金するなとは言いませんのでもっとシンプルにまとめてほしい。
今のままでは3回制限のダウンロード曲を購入すると、媒体が複数個分前払いされているのにそのうちの3個にしか入れられないなんて理不尽です。
普通に音を楽しみたいです…

関連:2004.11.16 JASRACと無料コンサートとの関係
http://ntd.way-nifty.com/blog/2004/11/jasrac.html


(2005/6/22)
お、補償金を奪還した人があらわれました。
http://www.asahi.com/national/update/0622/TKY200506210380.html
6月22日(水) 補償金8円の返還認める 「家族撮った」と訴え

音楽や映像作品の著作権を守るため、デジタルの録音・録画機器や記録媒体の販売時に補償金を価格に上乗せしている私的録音録画補償金制度をめぐり、「個人的に家族を撮った映像のコピーで、支払い義務はない」としてDVD−R購入者から出されていた返金請求が22日までに認められた。
 私的録画補償金管理協会(SARVH)が近く4枚分、8円を返す。仕組み自体があまり知られていない上、手続きにはわずかな補償金に見合わない手間がかかるため、1993年の制度開始以来、SARVHに請求した例はなかった。(共同通信)

仕組みはあるが実行しにくい仕掛けになっていて、実質形骸化することを狙ったようなものでしたが、
それでもあえて行使する者もいるだろうとは思ってたのですが…93年以降初めて、というのが。
それに、「ちゃんと返還するという実績を作らせてしまい、徴収を正当化させてしまった」と嘆く意見もありますね。

(2005/6/15補足)
http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0506/15/news014.html
経済協力開発機構の調査結果によると
「P2PとCD売上減には直接の因果関係は見つからなかった」
「オンライン音楽事業にP2Pが悪影響及ぼす可能性はある」
という発表があったとか。記事にあるように、CCCDの最大根拠であったところが否定はされてないが肯定もされませんでした。
先日の「HDDレコーダーのCMスキップでの広告市場の損失計算」もおかしいとの批判が出てましたが、
本来リアルタイムで見られなかった人が、HDDレコのおかげで見られるようになった、でもCMは飛ばす、というスタイル、
飛ばされて損失とか計算してますが、そもそもその人は従来はTVを見てなかった人なのですから、CM見てないからってマイナス査定されるのは変ですよね、ふつーに考えても。
総合研究所の統計リリースってプロの仕事でしょうに。


私的録音・録画補償金制度では誰も幸せになれない.
(ITmedia ライフスタイル)
またも小寺さんのコラムです。
あの複数ある音楽のなんとか協会に23億円も録音保証金が渡っていながら、その先の本来の著作権者にはいくら行っているやら?
中間搾取のように陣取っているトコロって本来は無くてもよくて、スーパーマーケットの産地直送とか中間マージンは省くべし、と普通は思うところですが。
問屋とかの仲介屋はあったらあったでメリットもありましょうが、そこが自分自身を拡大させるためにパソコンHDDやシリコンメモリに保証金を寄生させようとするのは、ほんとなんとかならないものか。

CCCDを不買で追放できたので、消耗戦なら今後保証金がかかるパーツを徹底的に不買するにも、HDDやSDメモリとかを買わないというのも…。敵もほんといろいろ考えるものです。
同人音楽のSTBさんが「JASRACにちゃんと払ったほうが、同人CDをリリースするのにむしろ気持ち的に楽になれる」とJASRAC管理曲をCDリリースするまでの話をしてましたが、
今回の小寺さんの主張にもあるように、「わかった。払うから、その分音楽を聴く権利をちゃんと行使させてくれ」というのに私も賛成です。
金よこせと隣でねちねち言われながら使うよりは、払って権利を明らかにしてそこから先は気分良く音楽を楽しませて欲しいものです。
個人的には「中間搾取層が消えれば保証金が安くなるか権利者の利益も増えるのでは」と思っているのですが。

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