« みずほダイレクトの縮退なセキュリティ対策 | トップページ | スパイとヤマハ発動機とタケコプター »

2006.01.26

東証システムとガソリンスタンド裏の原子炉

相変わらず手厳しい大前先生で、ネットでも先生の記事にはツッコミが多かったり、一方で友人が熱心なファンだったりします。
そんな大前さんの最新コラムで先の東証トラブルでシステム構築についての話題。
企業リスク対策(第13回)[大前研一氏]/SAFETY JAPAN 2005/日経BP社
現場で作業をする者にとっては指示や激励が「ちゃんとやれ」「しっかりやれ」とか冠がついていると聞く側は、やれと言うのと比べて何が違うのかと小一時間問いたいところ。そんな指示よりも、もっと具体的な仕様をくださいよ…。

だから一連の報道で「東証のシステムはけしからん」というのは正しくはあるが、普通に当たり前を言っているわけであって、それを読む庶民と同じレベル。社説に「しっかりしてほしいものだ」とか書かれても、東証側も「わかっとるわい!」と言い返したいでしょう(笑)。
そんな中で大前さんは具体的な従来体制の構造を指摘し、どのように刷新すべきかを提言しており、単純批判記事ばかりな中で光っています。
特にシステム仕様機能の策定に外国の意見をも取り入れたほうがいいというのは他では見かけなかったアイデア。
今や日本だけの利用ではないシステムですから外国銀行や証券の意向も聞く分には意味があるでしょう。

今回の記事で一番印象に残ったのは、原子炉建設の安全性担保の手法のエピソード。
法律とか規則とかに即したシステムづくりではなく、実際に使った立場からのシステムづくりとして興味深い。
ルールにだけ従った原子炉システムを貴方は自分の裏庭に建設許可できるだろうか?
ちなみに私なんかがプログラムやハードを調達するときは将来の変更拡張を見越して、コンポーネントに小分けした機構にします(余力があれば、ですけど)。こうすれば部分的に差し替えて対応できるからです。別にお客様の改修コストを抑えようとかでなく、自分が変更作業するのでラクをしたいからなんですけどね。エラーメッセージも発生箇所を特定できるように細かく分類したり。
だから言われたとおりに作るのは長い目で見て損だと、現場の誰もがとうに気付いてはいるのでしょうがなかなか…。

MITの原子力工学部の名物教授で、マンハッタン計画にも参画しているトムプソン教授の言葉を思い出す。彼は私達大学院の学生に原子炉の安全に関しての講義の中で、「一番基本的なことは開発技術者としての知識を云々するよりも、当該原子炉を自分の家の裏に作る、という前提で物事を考えること」という教えであった。自分の裏庭なら、絶対にやらないこと、法律にあるから、とか、依頼主の要望だから、と言うのではなく最愛の家族の住む家の裏に建てられないようなものは設計してはいけない、という教えである。彼は実際にMITの原子炉を後者の隣、ガソリンスタンドの裏に建設した。

|

« みずほダイレクトの縮退なセキュリティ対策 | トップページ | スパイとヤマハ発動機とタケコプター »

IT・汎用機」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/3180/8344350

この記事へのトラックバック一覧です: 東証システムとガソリンスタンド裏の原子炉:

« みずほダイレクトの縮退なセキュリティ対策 | トップページ | スパイとヤマハ発動機とタケコプター »