(2010.6.14)
見事はやぶさは地球帰還を果たしましたね。
その最期の光も実に綺麗でした。NHKのアニメ『プラネテス』第一話のクライマックスでの衛星大気圏突入落下のシーン、あのパラパラと輝き散無する流星のようなシーンは、あれはリアルに基づく燃え方だったんですね。
飛散するはやぶさ本体に最後までぴったり寄り添うように飛び続けるカプセルがいとおかし。
カプセル切り離しで大任終えたはやぶさが燃える3時間の短い間に、振り向かせて地球を撮影させる追加ミッション、
ニュースでは「7年ぶりに戻ってきた故郷の姿を最後に撮らせてやりたい」と、はやぶさ自身のためと言えそうな表現でしたが、
それを擬人化マンガに描いているpixivのすこっちさん。これを読めばその意味が...泣けます。
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(2009.12)
金星探査『あかつき』応援メッセージと初音ミク
探査機派遣やメッセージ募集を初音ミクニュースの中で知ったので、先日東京駅前のJAXAショップに行ってきました。
宇宙ステーションに野口さん長期滞在、『はやぶさ』の帰還ミッションの話題もちゃんと展示してあり、休日なので賑わっていました。
そこでも署名を受け付けていました。過去集めたサンプルのプレートがあってすごく縮小刻印されるんですね。
閲覧のために虫眼鏡も用意されているほど。
http://hatsunemiku.blog107.fc2.com/blog-entry-988.html
しかしこの署名、科学興味度の高そうな初音ミクファンが盛り上げようとしてるのを、純粋な?宇宙天文ファンが嫌な眼で見ているとかの話が出ているのは残念なところ。私はどちらも好きなのに。

(2009.11)
2009年今年一番に感動したニュース。
はやぶさ 奇跡的復活、再び地球へ googleニュース
小惑星探査機「はやぶさ」が地球への帰還を再開 Robot-ニュース
宇宙好きにとっては、はやぶさも要チェックだったわけですが、前のニュースで「エンジンがついに1個、3個使用不能に」を聞いていたので、もう無理か5年設計を7年以上も稼働させてきたんだからガタが来ても仕方がないと思っていました。
火星探査のオポチュニティ達の稼働が月単位の予定が年単位で運用できたのが特例で。
そこに続報として、19日発表で「使用不能だった二台のエンジン制御の正常な部分を組み合わせて一台分として稼働させる」という荒技で推進力回復させ、(これが維持できれば)2010年帰還の計画通りになるとのニュース、ネットでも結構みんな驚き、感動し、応援していましたね。
私もイトカワに着地しただろう時点で十分頑張った、実験機としての役目も果たしたと合格点あげてますが、岩石資料の持ち帰りまでやり遂げるのかもしれません。
いろいろ新技術や新運用をやってますね>満身創痍のはやぶさ
2ちゃんねるのトラブルまとめコピペによると
⇒ 本来ならリアクションホイール3個(xyz軸)で姿勢制御するところがホイール1個壊れたのでホイール残り2個と化学スラスタで制御
→これは普通の「こんなこともあろうかと」な範囲
⇒ ホイールさらに1個壊れた!化学スラスタ全損!燃料全部漏れた!漏れた燃料が機体内で凍ってる!!通信途絶!!!バッテリも壊れて太陽電池パネルは常に太陽を向けなきゃなんない!!!
→ 姿勢が狂っても、ほっとけば持ち直すように設計してたんだよね。こんなこともあろうかと。1年以内に60%の確率で通信回復するはず。(数ヵ月後)ほうら3ヶ月で繋がったぜ!
→ とりあえずイオンエンジンの中和器から生キセノン吹かして姿勢制御。こんなこともあろうと中和器の向きを微妙にずらしてたんだよね。
→ 機体内をヒーターで暖めてベーキング。爆発しないようにゆっくりとね。気化した燃料はそのうち機体外に逃げるだろう。
⇒ 生キセノン吹かしつづけてると地球帰還用の燃料が足らなくね?あ、風車の原理で太陽光圧を利用して回転させて安定させればよくね?
→ こんなこともあろうかと、回転軸が機体の中心を貫くように設計してたんだよ。
⇒ 地球帰還用のカプセルに採取した試料を入れるにはバッテリーの電力が必要だなぁ。でも極低温で短絡故障(ショート)してるから下手に充電すると爆発しそうだなぁ。
→ あ、古河電工のおっちゃんが補充電回路で充電する裏技教えてくれた。電源オンオフを高速連打すれば良かったんだ、ラッキー。
⇒ よし、地球帰還航行開始っと。イオンエンジンは3基生きてるからオッケー。ホイールは残り1個だから今のうちに何かいい手を考えておこうっと。
⇒ 地球帰還第一期軌道変換完了。半年お休みして、第二期軌道変換開始。イオンエンジンBはどうやら寿命らしい。お疲れさん。残り2基。
→ おや、メモリエラー(SEU)か。良くある良くある。とりあえずセーフホールドモードで指示待ちっと。地球から診断してもらってイオンエンジンも再起動出来たので巡航再開。
⇒ イオンエンジンDが経年劣化で故障。この状態ではもう地球に帰れない。
→ スラスタAの中和器とスラスタBのイオン源を組み合せることで、2台合わせて1台のエンジン相当の推進力を得ることができるじゃん、余裕余裕。←今回NEW
補足すると、
*姿勢制御でホイールは3個はxyz軸を担当してたので本来なら1個でも欠けると困る重要機構。
*キセノンは推進用で姿勢制御用ではないが中和器ノズルがイオンノズル側に当てて帯電防止で中和させるための傾きがあって、機体本体が中央重心軸で設計されてたので(本来はバランス的に難しい設計)吹かせて安定回転させて制御を取り戻した。
しかも止めるための燃料を消耗しないよう太陽光も利用。光が当たるのに圧力があって帆で進むSF設定がありますが本当に活用するとは。
*携帯電話やノートパソコンの電池が発火とかのニュースがあったように壊れた電池は信用できない。全部が結線されてるので生存バッテリに充電すると故障バッテリにも電気が行って危険。そこで補充電の回路を使って低電圧でゆっくり(二ヶ月)充電させた。
はてなブックマークも2ちゃんねるもニコニコ動画でも、このニュースで皆が思ったことは「こんなこともあろうかと」な宇宙戦艦ヤマト真田技師長の名セリフでしたねやはり。
実際はこの台詞は1回しか言ってないらしいがみんな知っている不思議。
エンジン間を回路結んでおくとか、よくまあ思いつくし許可したものだ。
余計に搭載すると重さや回路の複雑さのリスクがあるのに、ダイオード1個だけならと積んで正解だったわけですね。
今回までにいろいろ真田さんを連発していて、どれだけ仕込んでたんだよ!ですね(笑)。
科学技術のおもしろさとしては、このニュースを『奇跡の復活』と報じられていますが、科学的&プロジェクト的には『当然の帰結』であること。
ミラクルなんかじゃなかった、そういう事態を打ち上げ前からちゃんと想定していたんですよね。
ニコイチ運用では無駄に燃料を消耗するが、これも初期にAエンジンが不調とかで危ういものは素直に運用停止させていたので逆に未使用の部品や燃料が温存できていたのも気まぐれ結果ではない。
今回もABエンジン復活にあたり、一台で酷使してきたCを休ませて温存する措置も済ませている。
しかも今回の記者会見のあとでの川口PMの言葉
『ずっと前にダメになるのも、ぎりぎりまで粘ってダメになるのも同じ、帰ってこれるか、これないか。それが問題です』
に感銘しているブログ感想が多いですね。
先の私のように「だいたい良ければ合格OK」なんて甘えずに、最高の結果を目指して今もなおたゆまなき努力を続けているその姿勢に対して。
その言葉に「問題無い。帰ってくるの一択でしょ?」と応援する感想も心強い。
現在ニコニコ動画ランキングトップ。宇宙戦艦ヤマトの絵とBGMで『はやぶさ』の"当然の奇跡"を解説している人気動画。
合言葉は「こんなこともあろうかと」
初音ミクが歌う、さだまさし『案山子』に乗せて、2008年時点の帰還状況を説明する動画。「帰ってこいよ」と応援したくなる。図付き解説がありがたい。
美麗な3DCGで描かれた公式とも言える全天周立体映画でのドキュメンタリー予告編。全国各所のプラネタリウムで上映中。
あとはこの稼働をしばらく維持でき最終加速が成功すれば、計画通りの2010年帰還の目途が立ちそうですね。
これ以上のトラブルが出ませんように。
(民主党の事業仕分けは科学技術方面はやりすぎだと思ってた人が多いので、このニュースはパブコメ追い風になっているようですね)
