タイトルライターという職業
(日経新聞2004.7.16より)
映画の最後のクレジットに出てくる戸田奈津子さんとかの翻訳者名が出てきますが、
あれって字幕の字を書いている人でなくあくまで翻訳のみだったのですね。
新聞に『字幕の妙技銀幕飾る ハリポタ、007など字体から映画感醸し出す 佐藤英夫』という記事。
あの字体を「描いている」映画字幕タイトルライターという職業があって、日本では佐藤さんが有名、というか他に人が居ないらしい。
映画最盛期1970年代でも10人ぐらいの規模。実にマイナーな存在。でもあの独特の雰囲気を出してくれる字は大事ですよね。
佐藤さんは40年この仕事一筋2500本以上を手掛けてきた、という記事。
ひたすら手書きなので手がとても疲れる仕事で、どんなに頑張っても大作1本1週間かかる手間。
細くしっかり画数減らして描く必要があり、原稿用紙にさらさら書くのとは違う。
(小さなフイルムに足し込むので複雑な線は描けない)
でも人が居ないので佐藤さんに仕事が殺到し、ある時は体調崩して倒れて試写会に間に合わなかったこともあったとか。
逆にそれ以外はひたすら描き続けていたわけですから、すごい。
でも時代は変わり、写植活字をそのまま画面に描き込むことが洋画で7割を占めるようになり、
佐藤さんは潮時かと思ったときにシステムエンジニアな息子さんが佐藤さんの字体をマックでフォント化し、
佐藤フォントとして今までより効率的に生成できるようにしてくれたとのこと。
これで一応「筆を置く」ことになったわけですが、もちろんカーニングとか文章のバランスとかのチェックも欠かせない。
あの手書きな雰囲気が良いフォントは佐藤さんのものだったのですね。
だけどクレジットにはタイトルライターの名が出ることは無い。本当の無名のプロの仕事です。
先の洋画も映画がDVD化される時に佐藤さんフォントで訳をつけなおす依頼もあるとか。古い名画で特に。
新作『ハリーポッターとアズカバンの囚人』も佐藤さんフォントを採用しており、
呪文詠唱のとこだけ字体を変えて演出を盛り上げているとか。
そんなふうに佐藤さんは「今後も映画を楽しむお手伝いをしていきたい」とのこと。
タイトルライターもクレジット出せばいいのにね?
参考記事:書体Watcher
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