野村総研「CMスキップ損失540億円」のその後
ネットで「この計算おかしいんじゃない?」と話題になった、
野村総合研究所(NRI)が5月末に発表した
『HDDレコーダ世帯普及率11.9%、637人の利用者調査対象、CMスキップ率64.3%、テレビ広告費2兆0436億円 → 試算:2005年にはCM市場の2.6%つまり540億円の価値が失われる』
という試算結果ですが、これの発表以降、世間の反応はどうだったか?
一般ネット世論では「HDD録画は従来は観られてない番組を救済するもの。スキップされてない録画CM視聴が寄与するし、損失とされるのはおかしい」という意見は私に一番しっくりくるものでした。
HDDによってリアル視聴をやめた人も居ますが、全体の11.9%のさらに中でのCM損失ですので、TV全体から見ればVTRの次にHDDレコの登場は主に視聴機会増加に寄与すると思えるのですが…。
■それに関して当事者も反発
電通と民放キー局各局は、この発表に反応困惑。
広告主から問い合わせが相次ぎ迷惑したので、算定根拠を明らかにするよう業界から問い合わせがなされた。
(表現的には、反対とか怒りとか遺憾とは言わず、あくまで説明求めるという態度)
電通によれば
・TV広告費とはTVリアルタイム放送の視聴率に基づく取引実績。
録画ものは対象外である。
・HDDレコーダ利用者は録画した上での視聴しかしない計算方法はおかしい。
その利用者もリアルタイムに観ている分があるはず。
そもそも録画番組は広告の金とは絡まないところにあるものとされているのに、
録画で広告費を引き合いに出すのはおかしいというわけです。
それに録画利用者だってたまにはリアルタイムで観ているだろうわけで。
それに対して野村総研は、
・今回のは『試算』である。実績統計ではない。
HDDレコーダ登場によるTV宣伝効果の動向をモデル化するのが目的。
市場規模指標が必要なので広告費を用いたが、実際の市場の損失を意味しない。
・試算モデルは、今は算定外の録画番組内CMも潜在的有効性があるとし、
その価値を数値化するために金額にて表した。
とまぁ、仮想試算だと言っていたのだから怒るのはお門違い&見解の相違とし、謝罪の気配は無し。
TV業界側も「誤解を招きやすく納得でない」と記事にコメントあるように、WEBサイトに追記をNRIが載せるくらいだから、数字の見せ方がまずかったと認めているようなものですね>NRI
野村が言うように、価値がない現状の録画CMの価値を検証する、というのが主題なら、
録画でもスキップされなかった部分をスポットをあてて
「録画CMでも○○億円の広告費相当分が視聴されています」という発表にすればよかったはず。
センセーショナルを狙ってか逆のネガティブなほうを前面に出すあたりが調査分析会社としてどうかなぁと思いました。
普通に発表をしておけば電通&民放などの制作側は、
広告主に対して「録画視聴でもそれなりにCMは観られています。だから広告価値アップとして金額の上積みをお願いしたく…」
ノムソーに対しては「ベースアップの根拠資料をよくぞ上げてくれた。GJ!」
とプラス材料にできたはずなのに、今回は、
広告主が制作側に「540億円も観られずに捨てられてるらしいじゃないか!CM視聴率が実情低いのなら今より広告費を値下げるぞ!」圧力掛ける材料にされてしまったようで。
記事最後では、リアルタイム視聴率の低下は避けられず、HDDレコーダは無視できない存在であるとした上で、
今は「試算」の誤解をといたとして沈静化に向かっているとレポートされていますが、やはり電通側は「あんな発表のされかたは…」とまだ納得いかない様子でした。
(日経2005/7/7)
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